こんばんは、あすぴです。
先日、このようなお悩み相談をいただきました。
ここあすぴさーん!
指定難病のご利用者様って、助成制度があるって聞きました。
どのような仕組みなのか、よくわかりません…。
指定難病の医療費助成制度って、なかなか普段の生活では耳にしない人が多いですよね。
わたしも訪問看護で働いて、初めて詳細を知りましたよ!
というわけで、今回は難病法に基づく医療費の助成制度について解説したいと思います!
訪問看護で働いていると難病を抱えたご利用者様に出会うことが多くあります。
しかし、制度についてはご利用者様も情報が少なく医療費助成制度の申請をしていない場合もあります。
そんなときに、制度の知識が豊富な訪問看護師がとても頼りになります。
難病医療費の助成制度や自己負担上限管理表の記載方法について知りたい方は、ぜひ読んでいってくださいね。
指定難病とは?
難病とは、1)発病の機構が明らかでなく、2)治療方法が確立していない、3)希少な疾患であって、4)長期の療養を必要とするもの、という4つの条件を満たすものをいいます。
指定難病とは、上記の難病の4つの条件に、5)患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと、6)客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること、という条件が加わったものをいいます。
現在、指定難病に該当する疾患は333あります。
研究が進んで、指定難病はどんどん増えてきました。
そんなにあるんですね〜!
指定難病の医療費助成制度ってどんな制度?
指定難病は、前述の条件のとおり長期の療養を要します。
長期の療養の際に莫大な医療費がかかります。
そのため、指定難病に該当する患者様については、各都道府県に申請をして認定された場合に医療費の助成を受けることができます。
これが難病法で定められた指定難病の医療費助成制度です。
指定難病の疾患にはそれぞれに診断基準と重症度分類が定められています。
その基準に基づいて、各都道府県の難病指定医が判定をします。
難病指定医による判定が認定基準を満たす場合には、申請をすれば医療費助成を受けるための「医療費受給者証」と「自己負担上限額管理表」が交付されます。
難病情報センターの指定難病一覧にある、概要・診断基準等の項目から各疾患の詳細を確認できます。
また、重症度分類で申請の基準に満たなくても、医療費助成の対象となる場合もあります。
それが、「軽症高額該当」というものです。
申請の12ヶ月以内に指定難病でかかった医療費が33.330円を超える月が3回以上ある場合には「軽症高額該当」として医療費助成の対象となることがあります。
なるほど!
指定難病の診断だけでは医療費の助成は受けられないんですね!
その通りです!
ご利用者様の中にも、重症度分類で条件に満たない「軽症高額該当」の方がいるかもしれません。
ぜひ、医療費助成の対象になる可能性があることを情報提供してくださいね。
指定難病に関する訪問看護は医療費助成制度が利用できる
指定難病の医療費助成制度では、対象となる疾患に関する医療費と介護費が対象となります。
助成の対象となるのは、指定難病及び指定難病に付随して発生する傷病に関する医療です。
助成の対象のなっている場合でも、他の疾患に対する医療は助成を受けられません。
対象となる医療および介護の内容は以下のとおりです。
診察
薬剤の支給
医学的処置、手術およびその他の治療
居宅における療養上の管理及びその治療に伴う世話その他の看護
病院または診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
指定難病及びその指定難病に付随して発生する歯科の診察、治療
訪問看護
訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導
介護療養施設サービス
介護予防訪問看護
介護予防訪問リハビリテーション
介護予防居宅療養管理指導
介護医療院サービス
このように、訪問看護は医療保険、介護保険のどちらの保険を使用してサービスを提供した場合においても、指定難病の医療費助成の対象となります。
ただし、指定難病の助成制度を利用していただくためには、指定医療機関に登録されている訪問看護ステーションでなければいけません。
指定医療機関の申請方法は各都道府県のホームページで確認できます。
鍼灸、按摩、マッサージは医療費助成の対象にはなりませんのでご注意ください。
指定難病の医療費助成を受けるための手続き
指定難病の医療費助成を受けるためには、以下の書類が必要です。
- 支給認定申請書
- 臨床調査個人票(医師が記載する診断書)
- 住民票
- 世帯所得を確認できる書類
- 健康保険証の写し
- 医療保険の所得区分確認のための同意書
人工呼吸器を使用している場合は、人工呼吸器装着者である証明書類
世帯内に医療費助成を受けている人がいる場合は、それを証明する書類
軽症高額該当での申請の場合は、それを証明する書類
医療費助成を申請する窓口は、各都道府県により異なります。
自身の勤める訪問看護ステーションのある地域は、どこが窓口となるのか確認しておきましょう。
指定難病の医療費助成での自己負担上限額はいくら?
指定難病の医療費助成には、自己負担上限額が設定されます。
指定難病でかかった医療費については、設定された自己負担上限額以上は支払うことはありません。
自己負担上限額は所得によって設定されています。
医療費の自己負担割合についても、助成を受けている指定難病に対してかかった医療費に関しては2割負担になります。
高齢者医療保険などですでに自己負担割合が1割の場合は、そのまま1割です。
介護保険での訪問看護の場合も、3割負担の方は指定難病に対してかかった介護費用は2割負担になります。
自己負担上限額の仕組みがわかってスッキリしました〜!
契約時の訪問看護利用料金の説明の際には、2割負担での説明をするよう注意が必要ですね!
指定難病での医療費の全体的なイメージ
指定難病の療養でかかる医療費の全体的なイメージはこんな感じです。
Aさん、30代女性、筋萎縮性側索硬化症の診断があり、日常生活に介助を要する状態。
医療保険は国民健康保険で、自己負担割合は3割です。
難病の医療費助成の申請をして、医療費受給者証が交付されています。
医療費受給者証の自己負担上限額は2.500円です。
今月は、全体で病院で10万円、薬局で5万円、訪問看護で5万円、合計で20万円医療費がかかりました。
※事例なのでざっくりした料金設定になっています。
この場合、前項にあるようにまずは指定難病での医療費ですので2割負担になります。
そのため、病院では10万円の2割負担は2万円、薬局と訪問看護での5万円の2割負担は各1万円です。
国民健康保険が負担する8割の金額は、合計でかかった医療費20万円のうち16万円です。
自己負担の合計は4万円ということになります。
この事例のAさんの自己負担上限額は2.500円に設定されていますので、実際にAさんが支払うのは4万円のうち2.500円分です。
図解するとこのようになります。
イメージが湧きましたでしょうか?
はい!全体像が掴めました。
では、Aさんはこの自己負担の2.500円を病院、薬局、訪問看護にどのように支払うのでしょうか?
このような医療費助成を受ける際の自己負担分の支払いについては、「自己負担上限管理表」で管理されます。
自己負担上限管理表の記載方法
自己負担上限管理表は、各都道府県で様式が異なります。
今回は難病情報センターで掲載している自己負担上限管理表のモデルを元に、作成した表で説明します。
この管理表は月毎に記載する必要があります。
上記の表の場合、1月10日に受診したB病院で、2,500円の支払いをしていますので、その後の同月内の医療費自己負担はありません。
自己負担の累積額のところで自己負担上限までの残金を計算します。
月末までの累積額が自己負担上限に達していない場合は、訪問看護の利用料金として上限までの料金を請求します。
わたしの訪問看護ステーションでは、毎月月末から月初の訪問時に自己負担上限管理表を確認し、その月に支払いをした医療費を確認します。
医療費の自己負担が設定された上限額に達していない場合には、訪問看護の利用料金自己負担分を最大上限額まで請求します。
医療費の自己負担が設定された上限額に達している場合には、訪問看護の利用料金自己負担分の請求はありません。
請求する金額がゼロでも、明細書と領収書は発行します。
いずれの場合も、領収書をお渡しした際には、例のように自己負担上限管理表への記載も忘れずに行いましょう。
自己負担上限額管理表への記載が漏れないように、毎月しっかりチェックしましょう!
わかりました〜!
公費についても、あすぴさんがおすすめの参考書がありますか?
この参考書はおすすめです。
今回の指定難病以外にも、わかりやすく記載されていますよ。
さっそく購入して勉強してみます!
公費に強い訪問看護師を目指しまーす♪
まとめ
今回は、指定難病の医療費助成制度について解説しました。
- 指定難病に該当する疾患は333あり、そのうち医療費の助成を受けられるのはそれぞれの重症度分類に当てはまる場合のみ
- 重症度分類に当てはまらなくても医療費の助成を受けられるのは、「軽症高額該当」の場合
- 都道府県の難病指定医の判断を受け、申請が通ると「医療費受給者証」と「自己負担上限管理表」が交付される
- 指定難病の医療費の助成を受けている場合は、指定難病にかかる医療費の自己負担は2割
- 自己負担上限管理表は毎月記載が必要
今回はちょっとややこしい内容でしたね。
でも、この内容を理解しておけば、必ずいつかご利用者様や患者様のお役に立てる時がきます。
ぜひポイントを押さえて、身につけてくださいね♪
それでは引き続き、訪問看護ライフを楽しみましょう♪
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