こんばんは、あすぴです。
訪問看護は、医療機関ではありますが、条件によって医療保険と介護保険2つの保険で利用することができます。どちらの保険を利用して訪問するのか、ご利用者様に説明できるようにしておくと聞かれた時にも安心です。
わたしも最初はよくわからずとても混乱しました。
事例を載せておきましたので、ゆっくりと理解して行きましょう。
この記事を読み終わったときには、医療保険と介護保険の分類ができるようになっていますよ!
訪問看護は2つの保険が利用できる
訪問看護を利用するときに発生する利用料金。
これは、医療保険と介護保険のいずれかを使って算定しています。
そのため、私たちが病院で健康保険証を提示してお会計窓口で自己負担分のみを支払うのと同じように、訪問看護の自己負担金額は1〜3割で利用することができます。
自己負担金額の1〜3割は都道府県や市区町村から本人の課税状況により決められます。
医療保険と介護保険は勝手に選ぶことはできず、条件によってどちらの保険を使って訪問看護を利用するのかが決まります。
では、医療保険と介護保険、使用する保険の見分け方を詳しく見ていきましょう。
介護保険ってそもそもなに?
介護保険制度とは、介護を必要な人を社会全体で支えるべく2000年にできた制度です。
介護保険を受けられる人は、第1号被保険者と第2号被保険者に分けられます。
第1号被保険者は65歳以上を対象としていて、疾患を問わず認定を受ければ使うことができます。
第2号被保険者は40歳〜64歳までの16種類の特定の疾患がある方が対象で、上記と同じように認定を受ければ使うことができます。
介護保険は、市区町村が窓口となっています。
介護支援が必要な場合には、住まいの市区町村の窓口に認定の申請を行います。
すると認定調査が行われ、医師の意見を踏まえて身体の状態に応じた判定がされます。
判定の結果で、要支援1から要介護5の7段階の介護認定が下ります。
判断によっては、介護認定が下りない場合もあります。
医療保険と介護保険、どっちを使う?
医療保険と介護保険、どちらを使うか見分けるには、まず年齢を確認します。
介護保険は40歳未満は申請できませんので、必然的に医療保険での利用となります。
また、40歳〜64歳までの方で、国が定める16の特定疾病に該当する疾患がある場合には、第2号被保険者として介護保険を申請することができます。
介護保険の認定が降りた場合は介護保険を利用することになります。
65歳以上の方は、どの疾患でも介護保険の申請が可能です。
介護保険の認定が降りた場合には介護保険を利用することになります。
介護保険を有していても医療保険が優先される条件
基本的には介護保険の認定が降りている場合、介護保険が優先して使用されます。
しかし、介護保険の認定が降りていても次のような場合には医療保険が優先して使用されます。
介護保険を申請していても医療保険になる19疾病+1の状態
40歳以上で介護保険を有しているご利用者様でも、医療保険が優先される場合があります。
それが、『労働大臣が定める疾病等別表第7』に当たる19疾病+1の状態です。
この疾病名が訪問看護指示書に記載されている場合には、介護保険より医療保険を優先して使用します。
疑いでは医療保険が適用されませんので、介護保険を有している場合、介護保険が優先されます。
また、特に注意が必要なのががん末期とパーキンソン病です。
がんの診断名がつく場合でも、医師が末期と判断しない場合には介護保険が優先されます。
パーキンソン病ではホーエンヤール分類3以上でなければ医療保険の適用になりませんが、訪問看護指示書に記載されずに交付されることがあります。
その場合にはホーエンヤール分類がいくつなのか、医師に確認して記載してもらう必要があります。
介護保険を申請していても医療保険になる指示書
交付される訪問看護指示書の種類によっても、医療保険が優先される場合があります。
それは、特別訪問看護指示書という指示書が交付された場合です。
特別訪問看護指示書は、特指示と略して呼ばれることもあります。
特別訪問看護指示書は、月に1枚交付することができ、医師は最大14日の指示期間が指定できます。
真皮に至る褥瘡がある場合と、気管カニューレを使用している状態にある場合はさらにもう1枚、計28日間の指示期間を医師は指定することができます。
特別訪問看護指示書が交付されている期間は医療保険が優先されるため、1ヶ月の中で医療保険と介護保険が混在する場合があります。
保険によってご利用料金も異なるため、必ず適用される保険とその期間を確認して、ご利用者様に説明しておきましょう。
介護保険を申請していなければ医療保険
最初の項目で記載したとおり、40歳未満のご利用者様は、どの疾患やどんな状態でも医療保険での利用になります。
介護保険は40歳以上から申請することのできる保険ですので、介護保険を申請できない年齢のご利用者様は必然的に医療保険を使用します。
では65歳以上の方で19疾病+1の状態に当てはまらず、特別訪問看護指示書も交付されていない場合は、必ず介護保険の適用になるのか?
介護保険は自分または家族が申請し、認定調査を受けて介護が必要な状態と認められた人に与えられる保険制度です。
そのため、介護保険を申請できる年齢であっても、申請していなければ介護保険を利用できないため医療保険の適用となります。
介護支援が必要と考えられる方は、市区町村の窓口や地域包括支援センターにご案内して介護保険の申請をしましょう。
その場合、訪問看護の利用料金も、介護保険を申請した日までさかのぼって請求できます。
医療保険になる条件まとめ
それでは今までの条件を振り返って、フローチャートを見てみましょう。
医療保険と介護保険の分類の仕組みが理解できたでしょうか。
このフローチャートを使用して、次の事例に出てくるご利用者様が医療保険と介護保険のどちらに適用となるのか考えてみましょう。
事例を通して保険を見極めてみよう
事例1
70歳、男性。
一人暮らしで、近隣に息子が住んでいる。
心不全にて入院治療を行い、退院後より訪問看護を利用することとなった。
医師からは訪問看護指示書の交付がされた。要介護2の認定が下りている。
さて、この場合はフローチャートをたどると、利用する保険はどちらになるでしょうか。
正解!
この方の場合は、別表7に該当する疾患ではなく、介護保険の認定を受けています。
そのため介護保険での訪問看護を行います。
事例2
48歳、女性。
子宮頸がん末期の診断がされている。
自宅に帰りたいとの希望から、退院後訪問看護の介入が開始されることとなった。
16特定疾病に該当し、第2号被保険者として要介護3の認定を受けている。
さて、この場合はフローチャートをたどると、利用する保険はどちらになるでしょうか。
正解!
この方の場合は、16特定疾病に該当するため、第2号被保険者で介護保険の認定を受けています。
しかし、別表7に該当するがんの末期であるため、介護保険の認定を受けていても医療保険での訪問看護を行います。
まとめ
まずは年齢で分類を開始する。
40歳以上で介護保険を持っていても、医療保険が優先される条件がある。
①別表7に該当する19疾病または1つの状態
②特別訪問看護指示書が交付されている
介護保険の申請をしていなければ40歳以上でも医療保険が適用になる
今回は訪問看護で使用する介護保険と医療保険の分類の仕方についてお伝えしました。
訪問看護の制度はとても複雑で、なかなかとっつきにくいイメージがあると思います。
わたしも病院勤務のときには保険なんて全く知りませんでしたので、訪問看護ステーションに入って最初につまずいたのがこの医療保険、介護保険の分類でした。
また他の項目も順次作ろうと思いますので、よかったらぜひ覗いてみてください。
コメント