こんばんは、あすぴです。
訪問看護の保険制度って、どこから勉強していいかわからない!
このようなお話を伺うことがよくあります。
訪問看護に入職し、初めて医療保険、介護保険の制度について詳しく勉強するという方が多いと思います。
わたしも最初はどこから手をつければいいかわからず、とても苦戦しました。
今回は、わたしが新人訪問看護師の方に保険制度を説明する際の手順をまとめて記事にしてみました。
達成目標も合わせて記載しましたので、ぜひ順を追って確認してみてくださいね。
まずは保険の分類を
訪問看護では、医療保険と介護保険の2つの保険を使い利用料金を算定します。
この2つの保険は、わたし達訪問看護師が勝手に決められるものではありません。
保険を分類するルールがありますので、まずはそのルールを把握しましょう。
こちらの記事で学習する
訪問看護は医療保険と介護保険で利用することができます!|訪問看護の基礎知識を事例を解いて理解できる
- ご利用者様が医療保険と介護保険どちらの保険を使って訪問看護を利用するのか分類ができる。
訪問看護指示書の種類
次に確認したいのが、訪問看護指示書の種類です。
訪問看護を行う際には、必ず主治医からの指示書が必要になります。
指示書の種類は5種類あり、それぞれに交付できる指示期間や交付枚数が異なります。
訪問看護業務を行う上でも訪問看護指示書の確認は必須であり、それぞれのルールを把握しておく必要があります。
こちらの記事で学習する
訪問看護で100%必要なもの、それは訪問看護指示書です|5種類の訪問看護指示書がまるっとわかる!
- 訪問看護指示書の種類とそれぞれのルールを理解することができる。
医療保険での算定と加算
訪問看護指示書の5種類が把握できたら、次は医療保険制度の理解です。
厚生労働省の調査では、訪問看護のご利用者様の平均は、7割介護保険で3割が医療保険と言われています。
これは事業所の特色にもよりますが、医療保険の利用者<介護保険の利用者の事業所が多いです。
しかし、医療保険での算定や加算について理解しないまま訪問業務を進めていくと、加算の取りこぼしやルールに反した訪問を行ってしまう危険性もあります。
医療保険での訪問看護についてしっかりと理解し、現場に立つ看護師一人一人が実際に行なった看護を利用料金として算定していきましょう。
こちらの記事で学習する
訪問看護がもっと使いやすくなる知識|医療保険で利用する訪問看護
医療保険での訪問看護の加算を詳しく解説|現場に行く訪問看護師が理解しておくべき加算一覧
- 医療保険での訪問看護のルールが理解できる。
- 医療保険の基本料金の算定が理解できる。
- 医療保険の各種加算のルールが理解できる。
介護保険での算定と加算
医療保険での訪問看護のルールが理解できればあと少しです!
介護保険での訪問看護は、医療保険とは異なり、介護保険の仕組みから理解する必要があります。
要介護、要支援のご利用者様がどのように介護認定を受け、訪問看護を利用するのか、知っておいて損はない知識です。
介護保険制度を理解した訪問看護師は、ケアマネジャーとも話がスムーズに進みます。
他職種との情報共有は、訪問看護業務において必須の項目です。
ぜひ介護保険での訪問看護を詳しく理解し、現場で役立つ知識を身につけてください。
こちらの記事で学習する
訪問看護がもっと使いやすくなる知識|介護保険で利用する訪問看護
介護保険での訪問看護の加算を詳しく解説|現場に行く訪問看護師が知っておくべき加算一覧
- 介護保険の仕組みを理解できる。
- 介護保険での訪問看護のルールが理解できる。
- 介護保険の基本料金の算定が理解できる。
- 介護保険の各種加算のルールが理解できる。
事例を用いて保険算定を確認しましょう
事例1
80歳代、男性。要介護3の認定を受けている。
主疾患は膀胱がん末期、膀胱摘出術後に腎ろうカテーテルを挿入して自宅退院となった。
問題
問1 使用する保険は医療保険or介護保険?
問2 訪問看護は1週間に何回、1日に何回まで訪問することができる?
問3 訪問可能なステーション数はいくつ?
問4 算定できる加算は?
正解
問1 使用する保険は医療保険or介護保険?
がん末期は別表7に該当するため、医療保険での訪問看護が優先される。
問2 訪問看護は1週間に何回、1日に何回まで訪問することができる?
がん末期は別表7に該当するため、1週間に7日、1日に3回まで算定可能である。
問3 訪問可能なステーション数はいくつ?
週に3日以上の訪問が計画されていれば2ステーション、週7日の訪問が計画されていれば3ステーションまで訪問が可能である。
問4 算定できる加算は?
この事例の場合、腎ろうカテーテルが留置されているため、①特別管理加算Ⅰが算定できる。
また、希望する場合には②24時間対応体制加算が算定できる。
24時間対応体制加算を算定していて、緊急での対応があった場合には、③緊急時訪問看護加算、時間によっては④早朝夜間訪問看護加算または⑤深夜訪問看護加算が算定できる。
事例2
70歳、女性。要介護2の認定を受けている。
主疾患は心不全。在宅酸素療法を行っている。
退院直後には急性増悪の恐れあり、14日間の特別訪問看護指示書が交付された。
問題
問1 使用する保険は医療保険or介護保険?
問2 訪問看護は1週間に何回、1日に何回まで訪問することができる?
問3 訪問可能なステーション数はいくつ?
問4 算定できる加算は?
正解
問1 使用する保険は医療保険or介護保険?
特別訪問看護指示書が交付されている指示期間は医療保険、それ以外は介護保険での介入になる。
問2 訪問看護は1週間に何回、1日に何回まで訪問することができる?
医療保険での介入期間は、1週間に7日、1日に3回まで算定可能である。
介護保険での介入期間は、ケアプランに計画されていれば介入の制限はなし。
問3 訪問可能なステーション数はいくつ?
医療保険での介入期間は、週に3日以上の訪問が計画されていれば2ステーション、週7日の訪問が計画されていれば3ステーションまで訪問が可能である。
介護保険での介入期間は、ケアプランに計画されていれば介入するステーション数の制限はなし。
問4 算定できる加算は?
在宅酸素療法を行っているため、①特別管理加算Ⅱを算定できる。
また、希望する場合には医療保険の場合は②24時間対応体制加算が算定できる。
24時間対応体制加算を算定していて、緊急での対応があった場合には、③緊急訪問看護加算、時間によっては④早朝夜間訪問看護加算または⑤深夜訪問看護加算が算定できる。
介護保険で24時間対応をする場合は、⑥緊急時訪問看護加算を算定する。緊急での訪問が月の2回目以降は時間によって④早朝夜間訪問看護加算または⑤深夜訪問看護加算が算定できる。
ただし、24時間対応をするための加算(24時間対応体制加算または緊急時訪問看護加算)は、どちらかの保険でのみ算定可能であり、両方の保険での算定はしない。
通常、先に使用する保険で算定する。事例の場合は退院直後から特別訪問看護指示書が交付されており、医療保険での介入が先であるため医療保険で24時間対応体制加算を算定する。
実際の利用者に当てはめて確認を
さて、ここまで参考記事を利用しながら保険算定に必要な内容を見ていただきました。
しかし!
ここまでを読み終えたから完璧!というわけではありません。
訪問看護の保険制度は、実際のご利用者様に当てはめて考えてこそ自分の知識として身につけることができます。
入職した職場のカルテを開き、実際のご利用者様がどのような保険を使用し、どのような指示書で訪問しているか確認してみてください。
そして、実際の訪問では利用料金がいくら発生しているのか、どのような加算が算定されるのか把握してみましょう。
たくさんのご利用者様を事例として分類することで、応用力がつきますのでおすすめです。
まとめ
今回は訪問看護の制度の学習手順について説明しました。
目標設定した内容は、理解できたでしょうか。
訪問看護の制度は非常に複雑です。
しかし、訪問看護の制度は必ず答えのあるものであり、改訂があっても大きな枠組みは変わることが少ないです。
そのため、実は習得すればその後がとても楽になります。
いろんなルールがあり、覚えるのは大変ですので、焦らず実践とともに身につけていくのが効率的だと思います。
わからないことがあれば、その都度振り返って確認する習慣をつけ、訪問看護の制度をマスターしてくださいね!
それでは引き続き、訪問看護ライフを楽しみましょう♪
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