訪問看護がもっと使いやすくなる知識|医療保険で利用する訪問看護

こんばんは、あすぴです。

訪問看護ステーションを利用する際に使用する保険は、医療保険と介護保険があります。
この2つの保険は自由に選べるわけではありません。
医療保険と介護保険は、年齢や疾患、訪問看護の指示書の種類により分別されています。
医療保険と介護保険の選択はこちらの記事を参考にしてください。

今回は医療保険を使用しての訪問看護について、詳しく解説していきたいと思います。
この記事を見ていただければ、医療保険での訪問看護についてマスターすることができます。
訪問看護従事者だけでなく、ケアマネジャーや退院支援相談員、在宅医療に関わる方の参考になれば幸いです。

目次

訪問看護を医療保険で利用する場合とは

訪問看護を医療保険で利用する場合には、いくつか条件があります。
以下に当てはまる場合には、医療保険での訪問看護を行うことになっています。

  • 40歳未満である(介護保険を使える年齢ではない)
  • 40歳以上65歳未満で16特定疾病に該当しない(介護保険の適用ではない)
  • 厚生労働大臣が定める19疾病および1の状態(別表7)に該当する
  • 特別訪問看護指示書が交付されている
  • 精神科訪問看護指示書が交付されている

※16特定疾病、厚生労働大臣が定める19疾病および1の状態(別表7)については、こちらの記事に詳しく記載しています。
※特別訪問看護指示書、精神科訪問看護指示書については、こちらの記事に詳しく記載しています。

医療保険での訪問看護は週に何回利用できる?

医療保険での訪問看護は、基本的には週に3回まで、1日1回までの利用ができます。
医療保険の場合、訪問時間は30分〜90分とされています。

しかし、以下のような条件に当てはまる場合には、週に7日間の訪問が可能になります。
また、1日に3回目の訪問まで算定ができます

  • 別表7の19の疾病と1つの状態に当てはまる
  • 別表8の状態に当てはまる
  • 特別訪問看護指示書が交付されている

別表7の内容はこのようになっています。
別表7は介護保険を持っていても医療保険が優先される疾病でしたね。

別表7の19疾病と1の状態
  1. 末期の悪性腫瘍
  2. 多発性硬化症
  3. 重症筋無力症
  4. スモン
  5. 筋萎縮性側索硬化症
  6. 脊髄小脳変性症
  7. ハンチントン病
  8. 進行性筋ジストロフィー症
  9. パーキンソン病関連疾患
  10. 多系統萎縮症
  11. プリオン病
  12. 亜急性硬化性全脳炎
  13. ライソゾーム病
  14. 副腎白質ジストロフィー
  15. 脊髄性筋萎縮症
  16. 球脊髄性筋萎縮症
  17. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  18. 後天性免疫不全症候群
  19. 頸髄損傷
  20. 人工呼吸器を使用している状態

別表8の状態はこのようになっています。
これは、訪問看護事業所が算定する「特別管理加算」の算定要件にも該当する項目です。
『2.以下のいずれかを受けている状態にある者』については、指示書を交付する医療機関が管理加算を算定していて、在宅でも訪問看護師による指導管理が必要な場合に該当します。
医療機関へ確認が必要です。

別表8の状態
  1. 在宅悪性腫瘍等患者指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者
    又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者
  2. 以下のいずれかを受けている状態にある者
    • 在宅自己腹膜灌流指導管理
    • 在宅血液透析指導管理
    • 在宅酸素療法指導管理
    • 在宅中心静脈栄養法指導管理
    • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理
    • 在宅自己導尿指導管理
    • 在宅人工呼吸指導管理
    • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
    • 在宅自己疼痛管理指導管理
    • 在宅肺高血圧症患者指導管理
  3. 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者
  4. 真皮を超える褥瘡の状態にある者
  5. 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者(週3回以上の点滴を行う必要のある者)

このように、医療保険での訪問を行うご利用者様の中で、別表7、8に該当する、または特別訪問看護指示書が交付されている場合には、訪問の回数制限が解除されます
この条件の当てはまるご利用者様は週3回、1日1回の看護の提供では支援内容が不足する可能性があるということです。
一つ一つの項目を見ていくと、医療依存度の高い疾病や状態が多いですね。

医療保険での訪問看護は何ステーションが支援できる?

医療保険での訪問看護では、基本的には1つのステーションのみ支援が可能です。

しかし、週に3日以上の訪問が計画されている場合には、2ステーションまで支援が可能になります。
さらに、週に7日以上の訪問が計画されている場合には、3ステーションまで支援が可能になります。

1日に算定できるステーションは1ヶ所が原則です。
ただし、Aステーションが予定訪問を行った日にBステーションが緊急訪問を行った場合には、Aステーションは通常通りの算定を行い、Bステーションは緊急時訪問看護加算のみ算定可能です。

複数のステーションが介入する場合には、同じ内容で宛先のそれぞれのステーションになっている訪問看護指示書が必要となります。
指示書を出す主治医は、1ステーションでの介入する場合も、3ステーションが介入する場合にも、必ず1人です
1人のご利用者様に複数の訪問看護ステーションが介入する場合、Aステーションは◯◯病院から指示書をもらい、Bステーションは⬜︎⬜︎病院から指示書をもらう、というのはNGです。

また、複数のステーションが介入する場合には、それぞれのステーションで算定できる加算と、どちらか1ヶ所のステーションでのみ算定できる加算があります。
加算の詳しい内容をこちらの記事にまとめていますので、併せてご覧ください。

医療保険での訪問看護の利用料金

医療保険での訪問看護は、実際いくらかかるものだかご存知ですか?
現場に立つ訪問看護師も、料金については知らない、という方もいるようです。
自分たちが提供する1回の訪問にいくら料金が発生するか知っておくことも大切です。

医療保険の自己負担割合に応じて、1〜3割の自己負担額が発生します。
今回は、基本的な自宅療養をされているご利用者様への訪問看護を行う場合の料金設定を見てみます。
1円単位は四捨五入して請求します。

医療保険での訪問看護の基本料金は、基本療養費Iと管理療養費を合計した金額です。
また、基本療養費、管理療養費それぞれで訪問日数により金額が異なります。
これが非常にややこしいんです。
でも必ず理解できますよ。

では、1割負担のご利用者様の利用料金をシミレーションしてみましょう。

月の初日の利用料金は、基本療養費と管理療養費の合計、12.990円です。
そのうちの1割をご利用者様が負担し、残りの9割はお持ちになっている医療保険の保険者が負担します。
上記の表の通り、基本療養費と管理療養費を合計すると、1.300円がご利用者様の自己負担になります。
基本療養費と管理療養費は1日1回の算定が上限です。

では、2日以降はどうなるでしょうか。

管理療養費が2日目以降の欄になり、1割負担のご利用者様の利用料金は、合計して860円です。
管理療養費は2日目以降は同月の間は3.000円です。
しかし、翌月にはまた月の初日の料金が発生しますので、ご利用者様への説明は十分に行ってください。

では、週に3回以上の訪問を行う場合の料金を見ていきましょう。

週3日目までは基本療養費が5.550円でしたが、週4日目からは6.550円に変わります。
そのため、1割負担のご利用者様の利用料金は960円になります。

ここまで大丈夫でしたか?
一覧にしたものを載せておきますので、確認してみてください。

ちなみに、もっとややこしいこともご紹介しておきますね。
たまに基本療養費は週4日以降で管理療養費は月の初日というパターンが発生することがあります。
基本的に1週間は日曜日起算で数えます。
そのため、次のような場合には管理療養費は6,550円で管理療養費は7.440円になります。
もちろんこれは、週3回の制限が外れている場合にのみ発生することです!

基本療養費Ⅰを主に説明してきましたが、ⅡとⅢもあります。
同一建物居住者に対する訪問看護を行った場合には、基本療養費Ⅱで算定します。
また、入院中の外泊時に訪問看護を行う場合には基本療養費Ⅲで算定します。

また、管理療養費には、機能強化型Ⅰ〜Ⅲというステーションのレベルの分類によって料金の差があります。
訪問看護ステーションとしての経験値が増えると、機能強化型ステーションの申請をすることができます。
経験値を積んだステーションは従来型のステーションよりも月の初日の管理療養費が高くなります。

ここまで、訪問看護の医療保険の料金について説明してきました。
この基本料金に加算が加わります。
思ったより高くないですか?
自分が提供するサービスがその金額に見合うものなのか、わたしは振り返るように心がけています。

なお、2020年4月の改定で、理学療法士等の訪問における基本療養費は、週4日以上でも5,550円一律になっています。

医療保険の訪問看護加算

医療保険での訪問看護には、このような加算があります。
加算とは基本料金に加えて算定するオプションのようなものです。
ご利用者様の状態によって算定される加算と、任意で算定する加算があります。
また、加算を算定する場合にはご利用者様に十分説明し、同意を得る必要があります。

加算の名前料金(10割/円)自己負担(1割 / 円)自己負担(2割/ 円)自己負担(3割/円)
難病等複数回訪問加算
(2回の訪問を行った場合)
4.5004509001.350
難病等複数回訪問加算
(3回の訪問を行った場合)
8.0008001.6002.400
24時間対応体制加算6.4006401.2801.920
緊急訪問看護加算2.650270530800
特別管理加算Ⅰ5.0005001.0001,500
特別管理加算Ⅱ2.500250500750
訪問看護情報提供療養費11.500150300450
訪問看護情報提供療養費21.500150300450
訪問看護情報提供療養費31.500150300450
在宅患者緊急時等カンファレンス加算2.000200400600
長時間訪問看護加算5.2005201.0401,560
退院時共同指導加算8.0008001.6002.400
特別管理指導加算2.000200350400
退院支援指導加算6.0006001.2001.800
在宅患者連携指導加算3.000300600900
乳幼児加算1.500150300450
看護・介護職員連携強化加算2.500250500750
複数名訪問看護加算4.5004509001.350
早朝・夜間訪問看護加算2.100210420630
深夜訪問看護加算4.2004208401.260
訪問看護ターミナルケア療養費125.0002.5005.0007.500
訪問看護ターミナルケア療養費210.0001.0002.0003,000

加算の詳しい解説はこちらの記事に記載しています。

医療保険で使える公費

医療保険の訪問看護で、よく使われる公費を紹介します。
公費を利用することで自己負担を少なく訪問看護を利用することができます。

公費を使用して算定をする場合には、事前にステーションとして申請が必要なものもあります。
申請せずに算定すると返戻になることもありますので注意しましょう。

  • 難病法ー特定医療費
  • 障害者総合支援法ー自立支援医療
  • 児童福祉法ー小児慢性特定疾病医療   など

また、このような公費だけでなく、高額医療費の利用もできます。
75歳以上の後期高齢者の場合には、自己負担限度額が設けられています。
70歳〜74歳の高齢者医療保険で訪問看護を行う場合には、高齢受給者証を使用することで自己負担限度額を設けられます。

医療保険での訪問看護を行うメリット

医療保険での訪問看護は、介護保険の支給限度額を使用しないというメリットがあります。
介護保険での訪問介護や福祉用具を利用したいけど、「単位が足りない…」という声を耳にします。
訪問看護は介護保険サービスの中でも比較的多く単位数がかかってしまうことがあり、他のサービスを導入する際に単位が不足するケースがあります。
その場合、医療保険での訪問看護を行うことで、介護保険サービスを増やすことができるので在宅介護の充実を図ることにもつながります。

また、医療保険での訪問看護は医療依存度の高いご利用者様のケースが多いです。
別表7を見ても、指定難病の中でも重症度の高い疾患ばかりですよね。
そのため、関わる看護師のスキルアップにもつながります。
訪問看護では、それまで務めてきた専門科病棟以外の疾患や医療処置に出会うことがよくあります。
未経験だった疾患や医療処置、看護ケアに触れることで経験値を高めることができます。

わたしは現在、医療保険でのご利用者様が7割近くを占める訪問看護ステーションで働いています。
医療依存度はとても高い方が多いですが、その分とても勉強になることもたくさんあります。
自身が得た知識は何にも変えられない財産です。

ぜひ医療保険での訪問看護のルールを理解し、看護師としてもスキルアップしていってくださいね!

まとめ

  • 医療保険の訪問看護の基本は、週3回、1日1回の利用まで。
  • 別表7、8と特指示は回数制限が解除される。
  • 複数のステーションが介入する際は、計画日数により介入できるステーション数が異なる。
  • 利用料金は基本療養費と管理療養費を合わせたもの。
  • 加算は取り漏れなく算定すること!

今回は、訪問看護ステーションを医療保険で利用する基礎知識をお伝えしました。
わたしが訪問看護の世界飛び込んだ際に、料金表の見方がすごく難しくてなかなか理解できませんでした。そして、1回あたりの看護の値段を知って、気が引き締まったことを覚えています。
今回の記事で、自分が提供する1回の看護にいくら支払われるのか、知っていただけたら嬉しいです。

これからも引き続き、ご利用者様に最大限の看護を提供できるよう、ともに成長していきましょう。
読んでいただいてありがとうございました!

最後に、わたしが訪問看護の仕組みを学ぶときに、いつも助けられている本を紹介します。
この本は訪問看護の医療保険、介護保険の基礎や算定について初心者でもわかりやすい記載がされています。
事業所やデスクに1冊置いておくと、とても便利な1冊です。

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  • 令和2年版訪問看護実務相談Q&A/中央法規出版/全国訪問看護協会
  • 訪問看護師のための診療報酬&介護報酬のしくみと基本2020(令和2)年度改定対応版:図解でスイスイわかる/メディカ出版
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この記事を書いた人

総合病院で病棟勤務後、出産を機に訪問看護に転職。
訪問看護初心者であり、子育て真っ盛りの1児の母でありながら管理者に就任。3年半の管理者生活を降任し、現在は訪問看護師として働きながら新たな訪問看護師の仲間を増やすため初心者ブロガーとしても活動中。
お酒とホームパーティが大好きな30代半ばの働くママ。

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