こんばんは、あすぴです。
今回は、このようなご質問をいただきました。
複数の訪問看護ステーションで訪問しているご利用者様がいます。
24時間対応体制加算をとっているステーションが毎回緊急対応を行うのですか?
24時間365日の対応を行うことで、ご利用者様は安心して在宅での療養生活を送ることができます。
しかし、訪問看護の仕組みはとても複雑で、新規のご利用者様のほとんどはどのように24時間対応体制を利用すればいいのか知りません。
訪問看護で働く私たちが説明できるように、24時間対応体制加算の概要や算定条件を理解しておく必要がありますね。
この記事では、訪問看護の24時間対応体制加算について、詳しく解説していきます。
「24時間対応体制について、いまいち理解できていない」という方は、ぜひ参考になさってください。
そして、いつも見てくださっている皆様に、記事の最後に心ばかりのプレゼントをご用意しています。
訪問看護の24時間対応体制加算とは?
24時間対応体制加算は、訪問看護を医療保険で利用する場合に算定される加算です。
厚生労働省の参考資料によると、24時間対応体制加算の算定要件は以下のように説明されています。
利用者の同意を得て、利用者又はその家族等に対して24時間対応できる体制にあって、緊急時訪問看護を必要に応じて行う場合に加算する。利用者又はその家族等の求めに応じて、主治医の指示に基づき、緊急に指定訪問看護を実施した場合には、24時間対応体制加算とは別に緊急訪問看護加算を算定できる。
この算定要件のポイントは3つです。
- 算定するにはご利用者様の同意が必要である。
- 事業所が24時間対応できる体制にある。
- ご利用者様またはご家族の求めに応じて、主治医の指示に基づき緊急訪問看護を実施する。
では、上記3つのポイントを詳しく解説していきます。
算定するにはご利用者様の同意が必要である。
24時間対応体制加算は、他の加算と異なり、任意で算定することができる加算です。
つまり、どんなに重症度の高いご利用者様でも、その方が「必要ありません、つけなくていいです。」と希望されなければ算定できません。
24時間対応体制加算を加算する場合には、必ずご利用者様またはご家族へ自身の訪問看護ステーションの名称、所在地、電話番号及び時間外や緊急時の連絡方法を記載した文書をお渡しして説明します。
事業所が24時間対応できる体制にある。
24時間対応できる体制にあるというのは、どのように証明するのでしょうか。
これは、地方厚生局長への届出のことを指します。
事業所を管轄する地方厚生局のホームページに「24時間対応体制加算に係る届出書」という書式があります。
この届出書が受理されると、24時間対応体制加算が算定できるようになります。
ご利用者様またはご家族の求めに応じて、主治医の指示に基づき緊急訪問看護を実施する。
24時間対応体制加算を算定する場合、訪問看護記録への記載が必要です。
ご利用者様やご家族から電話等で看護に関する意見を求められ、電話対応した場合や、必要に応じて緊急訪問看護を実施した場合には、その日時や内容、対応を訪問看護記録書に記載します。
特に電話対応については忘れがちです。
事業所で周知し、漏れなく記載するようにしましょう。
24時間対応体制加算の料金は?
24時間対応体制加算の料金設定は以下の表のとおりです。
医療保険の1割から3割の自己負担割合により、ご利用者様が支払う金額が決まります。
10割 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
24時間対応体制加算 | 6.400円 | 640円 | 1.280円 | 1.920円 |
ちなみにこの料金は、24時間の電話対応や緊急対応が1度もなかった月にも発生します。
これは、ご利用者様がいつでも看護師に相談や助けを求めることができるために看護師が待機している料金です。
1日20円程度で24時間365日看護師に直通の相談窓口とも言えます。
(1割負担の場合、640円/月となり、30日で割ると21.3円/日)
どうでしょう?
あなたがご利用者様の立場だったら、利用したいと思いますか?
上記でも合ったとおり、24時間対応体制加算は任意の加算です。
中には緊急対応が必要と考えられるご利用者様が、「自分には必要ない!」と希望されない場合もあります。
24時間対応の必要性を説明する際に、どのようにお伝えすればご納得いただけるのでしょうか。
ぜひ事業所でも意見を出し合ってみてくださいね。
24時間対応体制加算の留意点とは?
24時間対応体制加算の算定には、留意点があります。
留意点① 1人のご利用者様に1つの事業所しか算定できない
24時間対応体制加算は複数の訪問看護ステーションで介入している場合、いずれか1つの事業所しか算定することができません。
月に1回算定する加算ですので、複数の訪問看護ステーションが介入している場合には協議の上でどの事業所が算定をするのか決めます。
例えば、偶数月はA事業所で、奇数月はB事業所、といった具合に分けることが多いです。
もしくは、全ての緊急対応をA事業所が行うので毎月24時間対応体制加算はA事業所がとる、なんて場合もあります。
注意したいのが、A事業所が介護保険の緊急時訪問看護加算を算定していて、月の途中でご利用者様の状態悪化による特別訪問看護指示書の交付などにより追加でB事業所が介入することになった場合です。
この場合は、介護保険の緊急時訪問看護加算を算定している場合には24時間対応体制加算は算定できません。
また、A事業所が緊急時訪問看護加算または24時間対応体制加算を算定している場合には、B事業所はいずれの加算も算定することができません。
あくまでも、1事業所が月に1回算定することがルールです。
留意点② 緊急訪問になった場合には緊急訪問看護加算を算定します
介護保険の緊急時訪問看護加算に名前が似ていますが、これは医療保険での加算です。
定期的な訪問看護以外で、ご利用者様やご家族の求めにより主治医の指示のもとで緊急訪問を行った際に1日に1回に限り算定します。
緊急訪問看護加算は、その月に定期的な訪問を行っていない場合や、24時間対応体制の届出をしていない場合には算定できません。
医療保険では、基本療養費を算定できるのは1日1事業所のみという決まりがあります。
そのため、定期的な訪問を予定している事業所以外が緊急訪問した場合には、この緊急訪問看護加算のみを算定することになります。
例えばA事業所が定期的な訪問を予定している日、A事業所の訪問前にB事業所が緊急訪問を行ったとします。
その場合、A事業所よりも先に訪問していることからB事業所が基本療養費を算定するのでしょうか?
答えはNOです。
令和2年版訪問看護実務相談Q&A (一般社団法人全国訪問看護事業協会)によると、上記のような場合、緊急訪問を行ったB事業所が予定されている訪問看護の内容も実施することが望ましいとしています。
その場合には、B事業所が基本療養費及び緊急訪問看護加算を算定します。
しかし、ご利用者様の状態により通常の訪問看護の内容を実施することが実施できず、その後にA事業所が通常の訪問看護を行った場合には、A事業所が基本療養費を算定し、B事業所は緊急訪問看護加算のみ算定します。
留意点③ 令和2年度の診療報酬改定での内容
令和2年度の診療報酬の改定があり、以下の内容が新たに決まりました。
特別地域又は医療資源の少ない地域に所在する訪問看護ステーションにおいては、2つの訪問看護ステーションが連携することによって24時間対応体制加算に係る体制にあるものとして、地方厚生局長に届け出た訪問看護ステーションの准看護師以外の看護職員が、指定訪問看護を受けようとする者に対して、 24時間対応体制加算に係る体制にある旨を説明し、その同意を得た場合に、月1回に限り所定額に加算することも可能。
以上を踏まえて最初の質問の回答は?
複数の訪問看護ステーションで訪問しているご利用者様がいます。
24時間対応体制加算をとっているステーションが毎回緊急対応を行うのですか?
24時間対応体制加算を算定できるのは、月に1回、1つの事業所のみです。
複数の事業所が介入している場合には、協議の上でどの事業所が算定するのか決定します。
緊急の対応は、24時間対応体制加算を算定した事業所だけでなくて構いません。
しかし、医療保険での訪問看護のルール上、基本的には定期的な訪問を予定している事業所が基本療養費を算定します。
他の事業所が介入した日に緊急訪問を行った場合には、緊急時訪問看護加算のみ算定します。
複数の事業所が介入する場合の対応としては、
1)毎月1つの事業所のみが24時間対応体制加算を算定し、緊急対応を行う
2)24時間対応体制加算は月毎に順番に算定し、事業所がその月の緊急対応を行う
3)24時間対応体制加算は月毎に順番に算定し、緊急対応はその日に支援する予定の事業所が行う
など事業所間で話し合って決めています。
おわりに…
24時間対応体制加算の解説を行いました。
今回は、ご利用者様にお配りする「緊急時の連絡先」を作成してみました。
パワポデータなので、ご自由に編集して使ってください♪
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訪問看護を頑張っている皆様のお役に立てれば幸いです。
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