こんばんは、あすぴです。
訪問看護ステーションで月末になるとやってくる業務。
それは訪問看護報告書です。
報告書の時期になると時間がかかってすごく疲れるという方も多いのではないでしょうか。
今回は効率的な報告書の書き方をご紹介していきたいと思います。
今月の報告書はこの方法で効率よく乗り越えていきましょう。
訪問看護報告書に書くべき内容は訪問看護計画書にあり
訪問看護報告書を書き出そうとすると、手が止まってしまうという方もいるのではないでしょうか。
そういった方は、訪問看護計画書が明確に作成されていないことが原因の可能性があります。
実は、訪問看護報告書に記載すべき内容は、訪問看護計画書に示されているのです。
それに気がつくと、訪問看護報告書の作成は格段に速くなります。
では、どんな訪問看護計画書が作成されていると、効率的に訪問看護報告書が記載できるのか。
詳しく解説していきます。
訪問看護報告書と訪問看護計画書の決まり
訪問看護を行う時には、主治医の先生から訪問看護指示書をいただく必要があります。
主治医から訪問看護指示書をいただいたら、その指示に対する計画と報告を提出することになっています。
また、介護保険での支援を行なっている場合には、担当ケアマネジャーへも計画書を提出します。
訪問看護計画書(以下、計画書)は、初回訪問のとき、計画の変更があるとき、主治医からの指示が変更されたとき、ケアマネジャーが作成する居宅サービス計画書が更新されたときに作成および交付が必要です。
作成した計画書は必ずご利用者様へ説明し、同意を得ることが定められています。
計画書は毎月の交付は定められていませんが、できれば毎月交付してご利用者様やご家族と確認していただくのが望ましいです。
訪問看護報告書(以下、報告書)は、原則月に1回作成し、主治医に提出します。
報告書はご利用者様には交付しませんが、個人情報開示を求められた際には提出する必要があります。
ケアマネジャーに対しても交付の義務はありませんが、ひと月の報告として送付すると1ヶ月の訪問看護の経過を報告することができます。
訪問看護計画書の作成の具体的なポイント
計画書の書式は2種類あり、訪問看護指示書が交付されている場合と精神科訪問看護指示書が交付されている場合で異なります。
書式はこんな感じです。
では、各項目にはどのようなポイントを押さえて記載するのか解説します。
看護・リハビリテーションの目標
ここがすごく大切です。
わたしが計画書を確認する際には、この項目を一番重視しています。
看護の目標は、訪問看護指示書の内容や居宅サービス計画書の目標も踏まえて設定します。
そして、ご利用者様が希望する生活に向けて、個別性のある目標設定にしていきます。
目標の主語がご利用者様になるようにすることもポイントです。
ご利用者様を主語にすることで、ご利用者様主体の目標設定になります。
例えば、誤嚥性肺炎を繰り返しているご利用者様の場合で目標設定してみます。
訪問看護指示書には、看護師が体調管理、異常の早期発見を行うよう指示があります。
居宅サービス計画書には、ご利用者様の思いとして「できる限り家で過ごしたい」という目標が記載されています。
それらを踏まえて、次のような目標はどうでしょうか。
「誤嚥性肺炎の再発がないよう支援し、異常の早期発見ができる」
これでは「支援する」、「異常の早期発見」をするのは看護師です。
看護師が主語の目標になっています。
そこで、次のように修正することで、ご利用者様主体の目標になります。
「誤嚥性肺炎を起こさず在宅生活を継続することができる。」
「誤嚥性肺炎を起こさない」のはご利用者様です。
さらに、「在宅生活を維持すること」を長期的な目標として含んでいます。
看護診断を使用して設定することもありますが、在宅ではあまり該当しない看護診断も多いです。
看護診断をもとに在宅での生活に合う目標に肉付けしていくと個別性に高い目標になると思います。
年月日
年月日の項目には、計画を作成した日にちを記載します。
看護計画の見直しおよび修正した場合には、年月日も修正日にします。
毎月計画書の評価をして、見直しを行っている場合には、月の初日(令和◯年◯月1日)にしておきます。
問題点・解決策
問題点・解決策の項目には、「看護・リハビリテーションの目標」とリンクした内容を記載します。
問題点には、目標を達成する上で問題となっている事柄を記載します。
例えば先ほど挙げた服薬管理の目標での問題点を抽出します。
【目標】
誤嚥性肺炎を起こさず在宅生活を継続することができる。
【問題点】
嚥下機能の低下により誤嚥することで肺炎を引き起こす恐れがある。
このように、問題点は現在生じている問題や、その状態が続くことによって引き起こされる問題を記載します。
解決策には、問題点を解決するための方法、看護介入の具体的内容を記載します。
この問題点を解決するための方法を検討していきます。
看護計画の内容は病院と大きく変わりはありませんが、在宅での環境に合った方法で記載していきます。
【目標】
誤嚥性肺炎を起こさず在宅生活を継続することができる。
【問題点】
嚥下機能の低下により誤嚥することで肺炎を引き起こす恐れがある。
【解決策】
O−P(観察計画)
1)バイタルサインの観察
2)肺音、呼吸状態の観察
3)口腔内の観察
4)水分、食事摂取状況の観察
5)必要時、排痰の性状の観察
6)受診時の検査データのモニター
T−P(ケア計画)
1)バイタルサイン測定の実施
2)嚥下機能に適した食形態の提案、とろみ剤の使用
3)口腔ケアの実施
4)吸引の実施
5)体重測定
6)食事時の体位の調整
7)注意散漫になる要因を減らす環境整備
8)他職種との連携
E−P(教育計画)
1)適切な体位、食事の速さ、食事の一口量を保てるよう説明する。
2)介護者へ効果的な口腔ケアの方法を説明する。
3)状態変化があった場合、訪問看護師への緊急連絡ができるよう介護者へ説明する。
評価
この項目は、月の初日に計画した内容に対し行います。
そのため、初回計画書の評価欄は空白で交付します。
翌月の計画書の評価欄には前月の計画の評価が記載されます。
問題点や解決策を踏まえ、1ヶ月看護計画に沿って看護を提供した結果、どのように成果を出したか記載します。
改善や維持ができたか、もしくはできなかったかを評価します。
改善や維持ができなかった場合には、再度アセスメントを行い何が不足していたか検討し翌月の計画を練り直します。
処置の内容/衛生材料(種類・サイズ)等/必要量
主治医の指示に基づき正確に記載します。
必要量については、1か月分の必要な衛生材料をまとめて記載します。
訪問看護報告書の作成の具体的なポイント
それではいよいよ、報告書の記載方法です。
計画書とどのようにリンクしているのか、確認していきましょう。
報告書の書式も、計画書と同じく2種類あります。
病状の経過
この項目が報告書の中で一番書くのに時間がかかるのではないでしょうか。
ここに記載すべき内容は、計画書に載っています。
計画書で考えた「問題点・解決策」を1ヶ月やってみた結果、「看護・リハビリテーションの目標」がどこまで達成できたのか。
それを書けばいいのです。
前述の事例を挙げて解説してみます。
【目標】
誤嚥性肺炎を起こさず在宅生活を継続することができる。
【問題点】
嚥下機能の低下により誤嚥することで肺炎を引き起こす恐れがある。
【解決策】
O−P(観察計画)
1)バイタルサインの観察
2)肺音、呼吸状態の観察
3)口腔内の観察
4)水分、食事摂取状況の観察
5)必要時、排痰の性状の観察
6)受診時の検査データのモニター
T−P(ケア計画)
1)バイタルサイン測定の実施
2)嚥下機能に適した食形態の提案、とろみ剤の使用
3)口腔ケアの実施
4)吸引の実施
5)体重測定
6)食事時の体位の調整
7)注意散漫になる要因を減らす環境整備
8)他職種との連携
E−P(教育計画)
1)適切な体位、食事の速さ、食事の一口量を保てるよう説明する。
2)介護者へ効果的な口腔ケアの方法を説明する。
3)状態変化があった場合、訪問看護師への緊急連絡ができるよう介護者へ説明する。
このご利用者様の場合、「病状の経過」の項目に記載するべきことは、「嚥下機能の低下により誤嚥することで肺炎を引き起こす恐れがある」ために行った解決策「O-P、T−P、E−P」によって、「誤嚥性肺炎を起こさず在宅生活を継続すること」ができたかどうかです。
もちろん結果だけ(「できた」「できなかった」)ではなく、ケアを行った際の状況も踏まえて記載します。
また、バイタルサインやスケールを用いた評価など客観的な情報も記載していると、主治医やケアマネジャーに伝わりやすいです。
電子カルテでは写真の添付ができるものもあり、より具体的に報告をすることができるようになりました。
緊急訪問があった場合には、その内容も記載することで病状の変化がわかりやすく、相手が1ヶ月の経過を理解しやすいですね。
看護・リハビリテーションの内容
この項目には、1ヶ月に行った看護ケアの内容を記載します。
箇条書きもしくは文章で、簡潔に記載しましょう。
家庭での介護の状況
家庭の介護状況を簡潔に記載します。
同居なのか、別居なのか、どの程度協力が可能なのか記載します。
衛生材料等の使用量および使用状況
使用した衛生材料を具体的に記載します。
衛生材料等の種類・量の変更
衛生材料の変更の必要性がある場合には、具体的に記載します。
訪問看護計画書および報告書記載の注意点
訪問看護計画書および報告書の保管期間は、医療保険での介入の場合は5年間、介護保険での介入の場合は2年間です。
訪問看護計画書や訪問看護報告書を含む看護記録は、必要に応じて情報開示が求められることもあります。
誰に見せることも可能なように、偽りのない内容を記載します。
文章の語尾が、「です、ます」で終わるものと、言い切りになっているものが混在している場合があります。
どちらで書かなければいけない、という決まりはありませんが、全体を通して統一するようにしましょう。
毎月一切変わらないコピペをするだけになってしまっている場合もあります。
これは楽だと思いますが、できればやめたほうがいいです。
わたし達がサービスの対象としているご利用者様は、生きている以上必ず変化があります。
変わらないことの方が圧倒的に少ないです。
状態に合わせた計画書の評価や報告書の記載をしていきましょう。
主治医の先生や担当のケアマネジャーは、きっと見てくださっています。
コピペをしているだけの報告書は、そのうち見られなくなってしまうんじゃないでしょうか。
訪問看護報告書を効率的に仕上げる肝は訪問看護計画
ご利用者様の情報をアセスメントして立案した看護計画。
これが報告書を効率的に書き進める肝になります。
逆に言えば、1ヶ月間の報告書がなかなか進まない場合は、計画書の妥当性を再評価してみる必要があると言えます。
報告書を書く際に、難しい言葉を選択する必要はありません。
誰にでもわかる表現でありのままを記載すればいいのです。
もちろん急変や緊急対応があれば、その分書く内容は増えるため通常より時間がかかるかもしれません。
しかし、報告書を作成するリズムを掴むことができれば作業効率は一段と上がります。
大きな急変がなく落ち着いて在宅生活を過ごすことができたご利用者様の報告書は、計画書に沿ってどんどんと書き進めます。
そうすれば、急変や緊急対応のあったご利用者様の報告書に時間配分の重きを置くことができます。
まとめ
- 報告書を効率的に仕上げるためには、計画書をしっかりと作っておく
- 報告書がスムーズに進まない場合は計画書を練り直す必要あり
- 統一した語尾で読みやすい報告書を書こう
- コピペするだけはやめておいた方がいいですよ
今回は、訪問看護計画書、訪問看護報告書について記載してみました。
訪問業務以外にも書類業務を抱える訪問看護の仕事ですが、時間は有限です。
ぜひ効率的に報告書作成業務を行い、プライベートの時間でリフレッシュしてください!
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