訪問看護での介護指導のコツ|3つの時期によるポイントをまとめました

こんばんは、訪問看護師あすぴです。

先日、このようなご相談をいただきました。

新人訪問看護師

介護量が多い利用者さんの訪問で、ご家族への介護指導がうまくできません。
どんなことに注意して介護指導を行えばいいですか?

あすぴ

ご家族の介護力に応じた介護指導って、最初は難しいですよね。

今回は、訪問看護におけるご家族への介護指導の時期に焦点を当てて解説していきます!

初めての訪問看護で、家族介護指導に苦戦している看護師さんはぜひ読んでいってください。

また、訪問看護での指導に当たる訪問看護師さんも、参考にしていただけると幸いです。

目次

訪問看護における家族への介護指導が必要な時とは?

長い在宅療養の中で、介護者さんは段階を経て介護技術を習得します。

今回は、介護を未経験で始めた頃を初期とし、維持期、終末期と段階分けをしてみました。

時期によって介護指導の着目点も異なります。

わたしが訪問看護師として、どのようなことに配慮して家族介護指導を進めているのか、ポイントと合わせて説明します。

初期

未経験で介護を始めて間もない時期です。

退院直後から訪問看護が介護者さんに関わることも多いですよね。

入院中に介護指導を受けてくる介護者さんもいますが、病院との環境の違いに指導内容が飛んでしまうこともしばしばあります。

ケアは極力少なく、説明はわかりやすく!

退院直後から在宅療養が少し落ち着くまで、数日間は極力介護の量を少なくします。

生きるために必要なケアから優先的に、最低限の介護指導を行います。

そして、多くを詰め込みすぎないように注意します。

また、口頭で介護方法を説明する際には、専門用語や略語は使用せず介護者さんにわかりやすい表現でお話しするように心がけましょう。

次回までどうするか、短期的な計画を!

介護者さんは不安でいっぱいになっていることが多く、「何から手をつけていいかわからない!」と焦ってしまうこともあります。

そのため、次の訪問看護やほかのサービスの介入までのスケジュールを一緒に整理しておくことで計画的に介護を進められます。

また、予測される身体変化や事象について説明し、緊急対応へ連絡する基準や手順を確認して退室します。

  • 介護は必要最低限にとどめ、初期に詰め込みすぎない。
  • 次回訪問までの介護スケジュールを立てる
  • 緊急対応の基準、連絡手順を確認する

維持期

生命維持に必要な介護力がつき、生活が安定してくる時期です。

介護者さんは徐々に介護に慣れてくると少し余裕が出てきます。

個別性の高い介護方法を取り入れる

このタイミングで、利用者さんにより適した個別性の高い介護方法を検討します。

利用者さん、ご家族とともに、どのような在宅生活を過ごしたいか聴取し共有しながら看護介入を進めましょう。

そして、医療的な側面から考えられるリスクは回避できるように、日々の介護の中に取り入れます。

例えば褥瘡形成ハイリスクである利用者さんの場合、介護者さんの体格や体力に応じた圧迫や摩擦がより少ない介護方法をお伝えします。

気分転換活動も取り入れる時期でもあります。

外出の希望がある場合には、外出するための準備やベッド上以外の環境で起こりうるトラブルや対処法を共有します。

介護者の体調維持にも着目する

維持期は、長期間にわたり続くことがほとんどです。

長く介護を続けるためには、介護者さんが極力楽な方法を選択することです。

訪問看護では、どうしたら介護を簡素化し心身ともに介護者さんの負担を減らすことができるか、と考えることも重要な視点です。

利用者さんと併せて介護を行う家族の健康にも配慮して情報収集していきます。

必要時にはレスパイトができるよう医療機関やケアマネジャーと連携を図ります。

  • 初期よりも個別性の高い介護方法を検討する
  • 起こりうるトラブルの対処法を共有する
  • 介護者さんの心身の状態を観察し、必要時にはレスパイトを検討する

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終末期

訪問看護の関わりは、長いと年単位になります。

ご病気を抱える利用者さんが訪問看護を利用していますので、病状の悪化や年々の加齢による状態変化が当然起こります。

医療機関への入院や、介護施設への入所をされる方もいますが、最期まで在宅療養を行うという方もいらっしゃいます。

入院や入所を選択される場合にも、入院入所日まで在宅療養は継続します。

在宅で過ごされる期間を、利用者さんとご家族の希望に近づけられるよう丁寧に関わりを続けます。

利用者さんの身体症状を先読みして介護指導する

最期まで在宅療養を続ける場合には、身体状況が変化し介護量が急激に増加することもあります。

自力での体位変換や排泄ができなくなったり、意識がなくなったりする様子を見ると介護者さんの不安は高まります。

このように状態の変化により、介護者さんは心身ともに疲弊してしまう可能性があります。

状態の変化の一歩先を予測して介護指導を行い、看取りに向けた家族ケアも合わせて行いましょう。

介護者は心身ともに疲弊する可能性あり

また、身体症状の悪化により今まで利用していた通所介護などの利用が中止になることもあります。

介護者さんは1人で途切れることなく介護を行っていることも少なくありません。

介護者さんの体調にも十分配慮し、看護師訪問時には一息つけるような関わりを行います。

  • 入院、入所する場合も在宅療養をする場合も同じように丁寧な関わりを続ける
  • 利用者さん身体状況の変化を予測して介護指導を行う
  • 介護者さんの心身の状態に十分に配慮し、安心して介護が継続できるよう支援する

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まとめ

今回は、訪問看護の介護指導についてお伝えしました。

在宅療養では、利用者さんへの支援に加え、介護者さんへの支援も重要です。

長期的な関わりになると、初期と維持期、終末期の間に介護力がどんどん向上する経過も見ることができます。

気づけば介護者さんが、訪問看護師よりもずっと個別性の高い素晴らしい介護をされていることもよくあります。

訪問看護師として、日々献身的に介護されている介護者さんに寄り添い、利用者さんの在宅療養をより良いものにしていきたいですね!

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この記事を書いた人

総合病院で病棟勤務後、出産を機に訪問看護に転職。
訪問看護初心者であり、子育て真っ盛りの1児の母でありながら管理者に就任。3年半の管理者生活を降任し、現在は訪問看護師として働きながら新たな訪問看護師の仲間を増やすため初心者ブロガーとしても活動中。
お酒とホームパーティが大好きな30代半ばの働くママ。

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