こんにちは、あすぴです。
コロナの影響で入院中の面会制限が続いている医療機関が数多くありますね。
わたしの訪問看護ステーションでも、「生活において全介助を要するけれど、面会制限により退院時の家族指導が行えなかったので自宅に帰ってから支援してほしい」という方のご依頼が増えました。
日頃から家族介護指導はありましたが、よりスピーディーで、より深い内容の介護指導が必要になった印象です。
これまで入院中の家族介護指導を一生懸命やってくださっていた医療機関の皆様に、改めて感謝するとともに、「ここが訪問看護師の腕の見せ所だ!」とやる気に満ちているわたしです。
今回は初めて介護を行うことになったけど退院時指導を受けずに自宅にお戻りになられたご利用者様家族の事例を元に、ポイントを解説していきたいと思います。
ベッド上での生活がメインになっている80歳代女性のDさん。
今回の入院で胃ろうを増設して本日自宅退院となりました。
コロナの影響で退院前カンファレンスも行うことができず、退院日に訪問看護師がご自宅にお伺いしました。
介護を担う家族のは同居している60歳代の長男とその奥様ですが、今まで介護経験もなく不安が大きい様子が伺えます。
介護は初めてです。母を家に連れて帰ってきたけど、何から手をつけていいのか…。
自宅での医療処置は、1日3回の胃ろうの管理と経管栄養、内服薬の注入、1日4回のインスリン注射です。
そのほか、体位変換や車椅子移乗、オムツ交換や褥瘡予防、口腔ケア、全身清拭、陰部洗浄などのケアも必要です。
在宅生活を継続するには、何から始めたら良いでしょう。
大丈夫ですよ!
安心して過ごせるように、一緒に考えましょう。
まずは命をつなぐ手技から優先して指導します。
今回の事例でいうと、経管栄養と内服薬の注入、インスリン注射が必須の技術となります。
パンフレットや手順書を一緒に確認しながらポイントを押さえて説明しましょう。
経管栄養のルートやクレンメの取り扱い方法について、水などを使って練習できるといいですね。
内服薬の注入をする際に、シリンジの取り扱いが難しい場合には懸濁ボトルを使用するとより簡単です。
指導開始する際、まずはなるべく簡単に、そして確実に行うべき命を守るための手技を第一に考えます。
優先順位を意識して指導スケジュールを作りましょう。
手技の獲得状況に応じて訪問頻度も調整します。
わたしが退室してもわかるように、手順を詳しく記載した用紙を置いていこう。
入院中のように24時間で介護を行うことは、在宅生活ではかなり難題です。
むしろ、在宅療養を継続するには無理をしないことが一番重要になります。
清潔ケアを他者に委ねるだけでも介護者の負担は随分と違います。
訪問看護師のだけでなくデイサービスや訪問ヘルパー、訪問入浴などご本人にあった介護保険サービスをうまく利用し、本人への安楽なケアと介護者の負担軽減を図ります。
しかし、介護保険の限度額や本人および家族の金銭的な負担も考慮してサービスの検討を行う必要があります。
家族がどこまでなら介護を担うことができて、これ以上は難しい、というラインを一緒に考えていくことが大切です。
そのラインを見極めることで、家族指導が必要となる範囲も変わってきます。
本人がどのように過ごしたいのか、家族が生活の中にどのように介護を組み込んでいくか、どんなサービスが必要であるのか。
担当ケアマネージャーとも十分に共有していきましょう。
ケアマネさんに初回訪問の状況を報告して、現状にあったサービスを提案しよう。
家族がどこまで介護を担う必要があるのかを見極めたら、次にゴールの設定をしましょう。
退院直後は、経管栄養と内服薬の注入、インスリン注射、オムツ交換をタイムスケジュールの通り実施できるよう介護者と確認します。
「手技の途中でわからないことがあれば看護師に電話をください。」と最低限必要な内容を目標とします。
なるべく間を空けずに訪問日を設定し、1日の過ごし方で困ったことがないか確認します。
もし数日単位で訪問日が空いてしまう場合には、電話連絡をして困っていることがないか伺います。
医療手技が習得できたら、次はオムツ交換の安楽な方法やオムツ交換の際にチェックしてもらいたい皮膚の発赤の観察方法などに派生していきます。
介護者のキャパシティを観察しながら1〜2つの手技習得目標を立て、次回訪問時に評価することを繰り返します。
介護者が不安に思うことを聴取し、退院直後と現在の不安の違いを比較することで内容に違いがあることに気がつくと思います。
不安がありながらも、着実に技術を習得していることを評価してください。
何日か連続で訪問した方が良さそうだな。管理者とスケジュールを調整しよう。
初めて介護をした介護者の方へ、看護師は介護者ができていたことをどんどん言葉にして伝えてください。
「前回よりずっとスムーズに準備ができていました。きっと何度もパンフレットを見て復習なさったんですね。」
「ご本人の体調が安定しているのはご家族が努力なさった結果ですね。」
「仙骨が赤くなっていませんね、オムツの交換を定期的にしていただいたおかげです。」
「困った時にお電話をいただいてありがとうございます。頼っていただいて私たちも嬉しかったです。」
介護生活をしていく中で、うまくいかないことや辛くなってしまうことも少なからずあります。
看護師は介護状況を観察し、出来ていることをより具体的にお伝えすることで、介護者の頑張りを認めることにもなると思います。
前回の訪問時と変わらないことの裏にある介護者の努力を、より深く読み取っていきましょう。
数日間連続で訪問してみたけど、ご家族の表情も柔らかくなってきたな。
介護手技もかなりスムーズになってきた!
命を維持する介護手技を優先に!
介護力に応じたサービスの検討する。
家族と短期目標を設定する。
モチベーションを維持する関わりをしよう。
介護者の努力を読み取ろう!
要介護状態で在宅に戻る時には、必ず介護者がいて、その介護者の努力は隠れがちだけど絶対にあるものです。
それが介護未経験のご家族ならなおさらだと思います。
たくさんの医療、介護技術を身につけようと努力する介護者の支えになれるように、私たち訪問看護師も一緒に努力して頑張りましょう!
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